【安全な品物を提供するために。】

安全を求める声が直接届いてきたこと



昨夜、木地の汁椀についてオンラインで打ち合わせをしました。

「安心・安全な汁椀がほしい」

「合成樹脂不使用のものがいい」

というご要望でした。

私も同じことを思い、これまで日々ものづくりをしていたので、同志に会えたような感覚になりました。

自社製品の理念の一つ、【安全】
「常に、安全だと確証が得られている原料だけを使ってものづくりをします。」というビジョンを掲げています。

なので、安全性が高く、安心してお使いいただける高品質の陶磁器・漆器・陶胎漆器のみを作るために、研究をしこれまで何万回も調合、実験を繰り返し、試行錯誤してきました。

研究にかかるコスト


誰にも知られることのない裏方の研究と実験は、想像以上に泥臭く、手間と時間とお金が必要になります。

安全な製品作りのための実験は、これまで正直に打ち明けると、莫大なコストがかかってきました。

現代は、大量生産・大量消費が当たり前の世の中です。

「安くたくさん作って、安く売る。」

その時代の流れとは逆行した形で、安全性を追求して、研究と実験を繰り返し続ければ、自ずとコストが高騰していきます。

こんな研究を続けていけばいくほどに、「高く少なく作って、高く売る」なんていう状況のものづくりになっていくわけです。

どれだけ安全な品物ができようが、高価なら興味すらもっていただけないのではないだろうか…

もう、他の安価な製品と同じように、安全性よりも、安価な製品作りのための研究をしてしまったほうが、お金になるんじゃないだろうか…

売値を下げるために「安全性」というポリシーを捨ててしまったほうがいいのだろうか…

売れてるアレやコレを真似して、安全性も諦めて、安くたくさん売ってしまおうか…

ものづくりで食べていくには、悪魔に魂を売ってしまおうか…

葛藤した数年


国内市場の多くが「安価であればいい」というニーズになりつつあるということならば、もう「安全性」なんていうポリシーは、ただのエゴかも知れない…

化学式や組成、原料をこねくり回して、今以上に安全を高めるには…と、研究し、調合、実験、失敗を繰り返すのが、ばかばかしくなってきた…


ここ数年は、ふいに頭をよぎりだして、葛藤をしていました。

日本国内の市場調査をしたときに、値段と安全性のニーズを比較すると、値段の安さのほうが重要視される傾向にありました。

私のしているものづくりは、それとは真逆の商品です。

↑この五つを大事にすると、コストがかかり安くはできなくなるジレンマ

私は今回、「安全なものがほしい」と言う声を聞けて、正直とても嬉しかったのです。

なので、「安全なものを1番に重要視し求めるニーズは、まだ確かにあるんだ。」と知ることができ、これまでやってきてよかった、諦めないでよかったと、救いにもなりました。

明日へつづく

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小林紗友里ものづくり研究室

小林紗友里ものづくり研究室は、小林の考える「陶胎漆器の伝承」をビジョンに、現在とりかかっている非公開プロジェクトを見届けたり、コースによって新作の陶胎漆器をお届けしたりする会員制のコミュニケーションサロンです。
※公開前のプロジェクトもございますのでサロンの内容は秘密厳守とさせていただきます。



陶磁器のカラダに漆を施す【陶胎漆器】は、日本太古の縄文時代にあった技法です。陶磁器と漆器のいいとこどりの陶胎漆器は100年、1000年と経年変化を楽しめる「育てる器」です。陶胎漆器の魅力を身近に感じてもらい皆様の元にお届けし、皆様自身で大切に育てていただきます。

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